おはようございます。大阪の行政書士はるかぜ法務サポート事務所の安田です。

「遺言書なんて、まだ先のこと」と思っていませんか? しかし、いざ相続が始まると、遺言書がないために家族が揉めてしまう「争続(そうぞく)」は決して珍しくありません。

 家族への最後のラブレターとも言われる遺言書。実は、書き方や形式を間違えると「法的に無効」になってしまうリスクがあります。

 この記事では、近年便利になった「自筆証書遺言」と、確実性の高い「公正証書遺言」の違いをわかりやすく解説します。

1. 自筆証書遺言とは?:手軽さとリスクの隣り合わせ

 自筆証書遺言は、その名の通り「本人が全文(財産目録を除く)を自筆で書く」遺言書です。

  メリット

  • 費用がかからない: 紙とペン、印鑑があれば、今すぐ無料で作成できます。
  • プライバシーが守られる: 誰にも内容を知られずに作成・保管できます。
  • 何度でも書き直せる: 気が変わった時に、自宅で簡単に修正できます。

  デメリットと注意点

  • 形式ミスで無効になるリスク: 日付の記載漏れや署名押印の不備など、形式的なミスで無効になるケースが非常に多いです。
  • 紛失・改ざんの恐れ: 自宅保管の場合、見つけてもらえなかったり、不利な内容を見た親族に破棄されたりするリスクがあります。
  • 「検認(けんにん)」の手間: 相続発生後、家庭裁判所で「検認」という手続きを受ける必要があり、遺族に時間的な負担がかかります。

★トピック:法務局の保管制度 2020年から、自筆証書遺言を法務局で預かってくれる「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。これを利用すれば、紛失リスクがなくなり、面倒な「検認」も不要になります。自筆を選ぶなら、この制度の利用が強く推奨されます。


2. 公正証書遺言とは?:プロが作成する「最強」の遺言書

 公正証書遺言は、公証役場で「公証人(裁判官や検察官などを長く務めた法律のプロ)」が作成する遺言書です。

  メリット

  • 無効になる心配がほぼゼロ: プロが作成するため、形式不備で無効になることはまずありません。
  • 原本は公証役場で保管: 紛失、偽造、隠匿の心配が全くありません。
  • 検認手続きが不要: 相続開始後、すぐに銀行手続きや不動産の名義変更を進められます。
  • 身体が不自由でも作成可能: 字が書けない場合でも、公証人が内容を聞き取って代筆してくれます(口授が必要です)。

  デメリットと注意点

  • 費用(手数料)がかかる: 財産額に応じて数万円〜の公証人手数料がかかります。
  • 証人が2人必要: 作成時に証人の立ち会いが必要です。親族、推定相続人などは証人になれないため、知人や専門家に依頼する手間や費用がかかる場合があります。

3. 【一目でわかる】自筆証書遺言と公正証書遺言の比較表

 それぞれの特徴を、主要なポイントで整理しました。

比較項目自筆証書遺言(保管制度なし)自筆証書遺言(法務局保管)公正証書遺言
作成費用0円数千円数万〜十数万円
形式不備のリスク高い低い(外形確認あり)ほぼなし(確実)
家庭裁判所の検認必要不要不要
紛失・改ざん防止低い高い最高に高い
証人の必要性不要不要2名必要

4. どっちがおすすめ?タイプ別診断ガイド

 結局、どちらを選べば良いのでしょうか?状況別に「おすすめ」をまとめました。

 「自筆証書遺言」が向いている人

  • コストを抑えて手軽に作りたい: 財産がシンプル(預貯金のみなど)な場合。
  • 考えが変わる可能性がある: 柔軟に内容を書き換えたい場合。
  • 法務局の保管制度を利用する: 手間を惜しまず、自分で法務局まで足を運べる人。

 「公正証書遺言」が向いている人

  • 家族に絶対に負担をかけたくない: 死後の手続きを最もスムーズに進めたい場合。
  • 財産が多い、または内容が複雑: 不動産が複数ある、特定の子供に多く残したいなど。
  • 相続争いの可能性がある: 「無理やり書かされたのではないか」といった疑念を第三者である公証人が立ち会うことで防げます。
  • 高齢、または病気で自筆が難しい: 手が震えて字が書けないといった場合でも作成可能です。

5. まとめ:大切なのは「確実に想いを届けること」

 自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらが良いかに「絶対の正解」はありません。

しかし、もしあなたが「残された家族が困らないこと」を第一に考えるなら、費用はかかっても「公正証書遺言」をおすすめします。 形式の不備や、死後の煩雑な手続きで家族を困らせる心配がないからです。

一方で、「まずは仮の形でいいから残しておきたい」という方は、法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言から始めてみるのも良いでしょう。

一番のリスクは、迷っているうちに「何も残さないこと」です。まずは、あなたの財産を一度整理することから始めてみませんか?


あなたの想いを形にするために

「自分にはどちらが合っているか、まだ判断がつかない」

「遺言書の内容について、専門的なアドバイスがほしい」

当事務所では、あなたの状況に合わせた遺言書作成のフルサポートを行っています。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください