おはようございます。大阪の行政書士はるかぜ法務サポート事務所のデジタル推進委員の安田です。

 ここ数年、私たちの暮らしは驚くほど変化しました。行政手続きのオンライン化やキャッシュレス決済の普及、そしてリモートワークの定着。デジタル化は生活を格段に便利にした一方で、「操作が分からない」「自分には関係ない」と感じている方が少なくないのも事実です。

 いま日本が目指しているのは、「誰一人取り残されないデジタル社会」の実現です。一部の人だけが恩恵を受けるのではなく、高齢者も障害のある方も、すべての人がデジタルの利便性を享受できる環境づくりが急ピッチで進められています。

 この記事では、デジタルデバイド(情報格差)を解消するための具体的な取組や、私たちが未来に向けてどのような一歩を踏み出すべきかを分かりやすく解説します。

. デジタル社会で懸念される「デジタルデバイド」とは

 まず知っておきたいのが、「デジタルデバイド(情報格差)」という言葉です。これは、パソコンやスマートフォンなどの情報通信技術(ICT)を利用できる人と、利用できない人の間に生じる「社会的・経済的な格差」を指します。

 デジタル化が進めば進むほど、ネットを使えない人が「行政サービスを受けられない」「お得な情報を得られない」といった不利益を被るリスクが高まります。これを防ぐことが、現在のデジタル政策の最優先事項の一つとなっています。

. 「誰一人取り残さない」ための政府・自治体の具体的な取組

 デジタル社会の利便性を全員に届けるため、国や自治体は「ハード面(インフラ)」だけでなく、「ソフト面(人によるサポート)」に力を入れています。

 デジタル推進委員による「対面サポート」の拡充

 「使い方が分からないなら、直接聞ける場所を作ろう」という発想から生まれたのが、「デジタル推進委員」の制度です。 これは、郵便局、携帯ショップ、地域の公民館などで、スマートフォンの使い方やマイナンバーカードの申請方法などを教えてくれるサポーターです。

• 具体例: 普段使い慣れている郵便局の窓口で、「アプリの入れ方が分からない」といった些細な悩みを相談できる環境が整いつつあります。

 高齢者向けスマートフォン講習会の開催

 全国の自治体では、高齢者を対象としたスマートフォン講習会が頻繁に開催されています。 単に「操作を覚える」だけでなく、「LINEで孫とビデオ通話をする」「災害時に情報を取得する」といった、生活に直結する体験を通じて、デジタルの楽しさを実感してもらう工夫がなされています。

. 技術で解決する:アクセシビリティとインクルーシブデザイン

「使う側が努力する」だけでなく、「サービスを作る側」の姿勢も変わりつつあります。ここで重要になるのが「アクセシビリティ(利用しやすさ)」です。

 • 音声読み上げ機能: 視覚に障害がある方でも、画面の内容を音声で理解できる。
 • 文字の拡大・コントラスト調整: 視力が低下した高齢者でも読みやすい。
 • 直感的なUI: 説明書を読まなくても、アイコンを見るだけで操作が分かる。

 最初から多様なユーザーを想定して設計する「インクルーシブデザイン」の考え方が、官民を挙げて取り入れられています。

4. 私たちにできること:身近な「デジタルサポーター」として

 社会全体の取組はもちろん重要ですが、最も身近な解決策は「家族や隣近所での助け合い」です。

 もし、周りに「キャッシュレス決済を使ってみたいけれど怖くてできない」「オンライン診療のやり方が分からない」と悩んでいる方がいたら、優しく背中を押してあげてください。 「便利だよ」と押し付けるのではなく、「これができると、こんなに楽になるよ」とメリットを具体的に伝えることが、デジタルへの心理的な壁を取り払う第一歩になります。

5. まとめ:デジタルは人を幸せにするための「道具」である

 ユーザーにとって、ITやIoTといった用語や技術的な仕組みは、重要ではありません。デジタル化の本質は、単なる「効率化」ではなく、複雑な手続きを簡略化し、移動の負担を減らし、遠く離れた大切な人と心を通わせることにあります。つまり、私たちの笑顔です。面倒な手続きを減らし、会いたい人とつながる時間を増やす。離れた場所にいる大切な人とつながることで、一人ひとりの生活を豊かにすることにあるということが本来の役割です。

 技術がどれほど進化しても、最後に必要なのは、それを見守り助け合う私たちの「温かな視点」があってこそ、真に「誰一人取り残されない社会」が実現するのです。そんな優しさのあるデジタル社会を、共に創っていきましょう。

 【さらに詳しく知りたい方へ】 お住まいの自治体のホームページでは、地域で開催されているデジタル講習会や、無料相談窓口の情報が掲載されています。ぜひ一度、「(自治体名) デジタル講習会」で検索してみてください。